高圧ガス貯蔵装置用の加温システム
专利摘要:
ガスが貯蔵タンクから消費される際の該タンク内のガス減圧、及び/又は低温環境条件での貯蔵タンクの環境暴露に起因して温度が低いことによって生じる熱的応力及び機械的応力を補償するように、水素、CNG及び工業用ガス用の高圧貯蔵タンクを加温すること。加熱は、1)タンクを形成する抵抗性構造材料に電流を通すことによってタンクシステムを加熱すること、2)電気誘導加熱システムを用いてタンク内のライナ、又はタンクのシェルを形成するポリマー繊維複合材を加温すること、3)ジュールトムソン効果を用いてタンクから排出された高圧ガスから熱を回収し、且つ、回収した熱をタンク内に残存するガスに導くこと、並びに/或いは、4)電流によりタンクを加熱すること及び電気誘導加熱システムを用いることのいずれか又は双方を、ジュールトムソン効果による回収ヒータと組み合わせること、によって達成される。 公开号:JP2011505525A 申请号:JP2010535475 申请日:2008-11-29 公开日:2011-02-24 发明作者:圭 判田 申请人:本田技研工業株式会社; IPC主号:F17C13-00
专利说明:
[0001] 本発明は、運転時に燃料ガスが貯蔵タンクから消費される際の車両タンク内のガス減圧と、低温環境条件(low temperature climate conditions:低温気象条件)での貯蔵タンクの環境暴露とに起因してシステム温度が低いことによって生じる熱的応力及び機械的応力を補償することによる、水素、CNG及び他の工業用ガス用の高圧貯蔵タンク用の加熱システムに関する。加熱は、1)タンクを形成する抵抗性構造材料に電流を通すことによってタンクシステムを加熱すること、2)電気誘導加熱システムを用いることであって、タンク内のライナ、又はタンクのシェルを形成するポリマー繊維複合材を加温する、電気誘導加熱システムを用いること、3)ジュールトムソン効果を用いることであって、タンクから排出された高圧ガスから熱を回収し、且つ、回収した熱をタンク内に残存するガスに導く、ジュールトムソン効果を用いること、並びに/或いは、4)電流によりタンクを加熱すること及び電気誘導加熱システムを用いることのいずれか又は双方を、ジュールトムソン効果による回収ヒータと組み合わせること、によって達成される。加温により、寒冷環境(cold climate:寒冷地)の運転条件での燃料ガスの漏洩の危険性が減り、貯蔵ガスとタンクとの内部温度差が減ることからタンクの耐久性が増し、且つシールとタンクに付随するガス流装置及びガス流制御装置との温度差(加温がなければ機械的応力を生じさせるであろう)が最小限となる。] 背景技術 [0002] 圧縮天然ガス駆動車(CNGV:圧縮天然ガス自動車)及び水素ガス駆動車(FCV:燃料電池自動車)は典型的に、タンク内部にガス吸収材を有し得る搭載用高圧ガス燃料タンクを備える。運転時、ガスが車両用パワープラントによって消費される際にタンク圧が減ることでタンクの減圧が生じることに起因して、タンクの内部のガスが低温となる。タンク内部で使用されるガス吸収材が、車両動作時にタンクからガスが放出される際にガスの固有熱を吸収する。寒冷環境では、タンク内の内部ガス温度は−60℃以下、すなわち、タンクにおけるOリング又は他のゴムシールすなわちガス流制御装置の許容可能な動作温度を下回り得る温度に下がる可能性がある。タンク内の温度が過度に低いと、シール及びガス流制御装置の設計公差範囲(limit)が変動し、タンクシステムアセンブリ内で温度による応力が生じる結果、貯蔵ガスの漏洩が生じかねない。一例として、周囲温度が−20℃である場合、タンクの内部温度がガス減圧効果によりさらに−40℃下がる結果、ガスタンクの内部温度は−60℃となる。タンクと該タンクに付随するガス流システムの構成部品とが膨張及び収縮することにより、機械的応力の悪影響が生じる場合がある。本明細書では、高圧ガス駆動車の言及には、燃料電池(FCVの場合)及び内燃機関の駆動に対する水素ガスの使用、並びに、内燃機関(CNGVの場合)の駆動に対して圧縮天然ガスを用いる本発明の用法に相関した使用が含まれる。本明細書及び実施例において水素を一般的に言及しているが、用語「水素」はほとんどの場合、CNG及び他の燃料ガスと互換性があることを意図する。燃料ガスは「ガス」又は「高圧ガス」と称する。] [0003] 本発明の目的は、炭素繊維製タンク及び/又はタンクライナの固有の導電特性を用いて、タンクを形成する抵抗性材料に電流を通すこと等によってタンク及びその内部のガスを加温し、又は、タンクに巻かれた電気誘導加熱コイルを用いることで該コイルを通る電流によりタンク壁及び/又はタンクライナを加温し、及び/又は、回収若しくは捕捉したジュールトムソン熱を用いて、内部ラジエータ又は熱交換器(HEX)を加温し、その場合、ジュールトムソン熱が放出され、タンク内に貯蔵されている残存ガスを加温する、高圧タンク用の加温システムを提供することである。] [0004] さらなる目的は、タンク温度及び/又はガス温度が過度に低いことに起因する、寒冷環境の運転条件での燃料ガスの漏洩の危険性を減らすことである。その結果、タンクの耐久性が増し、タンク内の貯蔵ガスとタンク壁との内部温度差が減り、タンクガス流及び制御システムの他の部材が加温される。タンクにおける運転サイクルの温度変動の程度は小さくなる。] [0005] 本発明を、図面と照らし合わせて検討する好ましい実施形態の以下の説明において、よりに十分に説明する。] 図面の簡単な説明 [0006] 炭素繊維ストランド材料がエポキシバインダ又は他の樹脂バインダ内に含浸されている炭素複合材から形成される、典型的な円筒形の高圧ガス貯蔵タンクを示す切欠図である。図示のタンクは、各端に金属ボスを有し、一端のボス内に入口ガス流部材及び出口ガス流部材が埋め込まれており、また、内部容積部を有する。 タンク内に貯蔵された水素が車両動作に用いられると同時に減圧される際にジュールトムソン効果を用いてのガス加温に利用可能な熱回収の計算を示すダイアグラムである。炭素繊維樹脂複合材製シェルタンク14が外壁14a及びライナ14b、ガス貯蔵用の内部容積部12、ボス11並びにガス流出導管11outを有する。図1Aはジュールトムソン効果を示す。タンクの容積部内に30MPa〜35MPaの高圧下で貯蔵されたガスが出口導管GFを流れ、圧力調整器PRを介してガス圧を1MPaに下げ、ここで、ジュールトムソン熱エネルギーが放出される。 車両の運転状態時及び駐車状態時のタンク内のガスの温度と金属ボス要素の温度との相対温度を示す、時間軸に対してプロットされたタンクのガス温度及び弁温度のチャートである。運転後の金属部材の冷却が示されており、運転後では弁温度が公差下限よりも低くなっている。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、本発明のタンク及び加温システムの側面図であり、ここでは、ガス及びタンクに対し加熱を行うように、タンク壁を形成する導電性繊維要素に接続する埋め込み電極に電源が相互接続されている。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、タンクの各側部の対向する両端から延びる導電性金属ボスに電源が相互接続されている。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、タンクの両端の対向する両側部のそれぞれから出ている、固有に形成された導電性繊維延長部に電源が相互接続されている。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、タンクを形成する複合材の導電特性に基づいてタンクの所定位置でタンク壁内に電極が埋め込まれている。電極は電源に相互接続されている。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、図6に示すタンク壁に沿ったタンク壁セグメント7A→←7Aの拡大断面図である。繊維は、複合材を形成する、エポキシ材内に埋め込まれた導電性フィラーと炭素繊維との混合物を含む。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、繊維のアラインメントを示すタンク壁セグメントの拡大断面図である。繊維は、複合材を形成する、エポキシ材内に埋め込まれた導電性フィラーと炭素繊維との混合物を含む。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、内部金属ライナを有する導電性/抵抗性複合材製構造を有し、絶縁層が該導電性複合材製タンク構造と金属ライナとの間に挟まれているタンクの側面断面詳細図である。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、図8Aの金属ライナ付きのタンク壁のセクション8B→←8Bに沿った断面図である。 タンクを形成する繊維複合材の導電特性を用いる加温システムの特徴を示し、本発明に用いられる温度制御システムを示す図であり、一例として図3の加熱システムが示されている。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、本発明のタンク及び加温システムの側面図であり、ここでは、ガス及びタンクに対し加熱を行うように、タンクの外径に巻かれた誘導コイルが電源に相互接続されている。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、10B→←10Bとして示した図3Aのタンク壁の上側の断面図である。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、本発明の加温システムの一例の断面図であり、ここでは、誘導コイルがタンク壁内に埋め込まれている。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、11B→←11Bとして示した図11Aのタンク壁の長手方向に延びる側面の断面図である。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、本発明の加温システムの一例の断面図であり、ここでは、金属ライナを有するタンクの外径に誘導コイルが巻かれている。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、12B→←12Bとして示した図12Aのタンク壁の長手方向に延びる側面の断面図であり、誘導コイル、繊維製タンクシェル及び金属ライナを示す。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、一例として図10Aの加熱システムを示す、本発明に用いられる温度制御システムを示す図である。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、底部領域にさらなる熱を与えると共により均一な温度を達成するようにタンク構造内に含まれる誘導的に活性な材料又は組成物のさらなる構成を示す図である。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、底部領域にさらなる熱を与えると共により均一な温度を達成するようにタンク構造内に含まれる誘導的に活性な材料又は組成物のさらなる構成を示す図である。 タンクの周囲に付随する誘導コイルを用いる加温システムの例を示し、底部領域にさらなる熱を与えると共により均一な温度を達成するようにタンク構造内に含まれる誘導的に活性な材料又は組成物のさらなる構成を示す図である。 ジュールトムソンシステム(Joule-Thomson system:ジュールトムソン効果を用いるシステム)により回収した熱を加温することを用いるシステムの例を示し、車両の運転の際のタンクの減圧時に水素ガス流出のジュールトムソンエネルギーを用いて、タンク消費時に排出される水素ガスを加熱する、タンク内部の熱交換器を用いるタンク構造の側面図である。 ジュールトムソンシステムにより回収した熱を加温することを用いるシステムの例を示し、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、ジュールトムソンエネルギーの熱交換がタンクの金属ボス内で行われ、該ボスが埋め込みタンク流制御装置を収容している。 ジュールトムソンシステムにより回収した熱を加温することを用いるシステムの例を示し、ガス流システム内での加熱用のエネルギー源として蓄えられた、水素減圧のジュールトムソンエネルギーを用いて内部の熱交換器を介してガスを加熱する、タンク外部の熱交換器を用いるタンク構造の側面図である。 ジュールトムソンシステムにより回収した熱を加温することを用いるシステムの例を示し、ジュールトムソン熱回収エネルギーが補助的な加温システムと組み合わせられる場合に用いられる温度制御システムを示す図である。] 図10A 図11A 図12A 図1A 図3 図3A 図6 図8A [0007] 要するに、本発明は、圧縮天然ガスすなわちCNG駆動車並びに水素ガスによって駆動される燃料電池及び内燃機関駆動車を含む高圧ガス燃料車両に用いられる、高圧ガス貯蔵タンク用の加温システムを提供する。多くの例では、かかる車両はタンクの内部にガス吸収材を含み得るガス燃料タンクを備える。運転時、タンク圧の減少が生じることからガスが低温となる。車両タンクがガス吸収材を有する場合、タンクからガスが放出される際にガス吸収材が熱を吸収するため、これがさらに冷却影響の一因となる。環境面から言えば、典型的な周囲温度はおよそ20℃である。寒冷環境では、車両タンク内の内部ガス温度は−60℃以下、すなわち、タンクにおいて使用されるOリング及び/又は他のゴムシール若しくはポリマーシール、並びに貯蔵タンクに対するガスの流入及び流出を制御するポート入口及び出口金属部品アセンブリの許容可能な動作温度範囲よりも低くなり得る温度に下がる可能性がある。許容可能な温度範囲よりも低いと、タンク及び付随するアセンブリの熱による機械的変形がシール、弁、制御装置等に関して許容可能な変化を上回る可能性がある。その結果、貯蔵ガスの漏洩が生じかねない。] [0008] 図1を参照すると、高圧タンクは典型的に、半球形ドーム型の両端を有する円筒形であり、炭素複合材製シェル、すなわち樹脂と炭素繊維の混合物から形成され、外側シェルと内部ライナとが間に挟む炭素繊維中間層のような補助的なシェルも有していてもよい。図1は、ガス貯蔵用の内部容積部12を有する典型的な高圧ガス貯蔵タンク10を示し、該タンク10は側壁14と共に各端に第1のボス11及び第2のボス13を有して示されている。ガス入口及びガス出口はボス11に11in及び11outとして示されている。繊維側壁は通常、内部ライナを有し得る。] 図1 [0009] 車両タンクシステムにおける運転時の温度状態及び駐車時の温度状態を図2にチャートで示す。運転時、ガス温度すなわちガスTは、例えばガス流制御システムの公差下限すなわち限界Tを、差Tすなわち25として示す温度差だけ下回る可能性がある。図2は駐車状態も示し、ここでは、経時的に、弁部品/制御部品/機械部品システムの温度20が差25に下がり、したがって、駐車後の期間21に、弁温度20が許容可能な温度公差下限よりも低い、温度26に下がる。] 図2 [0010] 実施例I 図3〜図6、図7A、図7B、図8A、図8B及び図9に示す第1の実施例では、本発明は、タンクの作製に用いる繊維材料及びバインダ材料の固有の導電特性を用いて貯蔵タンクを効率的に加温することができる解決策を提供する。いくつかの例では、タンク自体内の炭素繊維層をヒータとして用いてガスタンク自体を加温することができる。炭素繊維層は導電性を有するため、適当な抵抗範囲(resistive expanse)のタンクセクションに電位が印加されると繊維が加温され得る。別の例では、タンクの金属端ポートを電気端子として用いてタンクの導電性繊維に電流を印加することができる。タンク材料から作製されると共にタンクの導電性繊維に相互接続される固有の延長部を電気端子として用いることができる。他の例では、電気端子をタンク壁内に設け、導電性繊維に接続させ、電気加温電流への接続を可能にすることができる。タンクの炭素繊維が過度に導電性である場合には、タンクを形成する樹脂(エポキシ)に導電性フィラーが混入され、この混入は抵抗を減らすのに効果的である。通常、樹脂は電気抵抗が非常に高い。同様に、導電性繊維と炭素繊維の比例混合を変えることが抵抗を減らすのに効果的である。タンクが金属ライナを有する場合には、金属ライナは炭素層よりも抵抗がはるかに低いため、短絡が生じる。タンクの炭素繊維と金属ライナとの間の電気的絶縁層が短絡の発生を防止する。] 図3 図4 図5 図6 図7A 図7B 図8A 図8B 図9 [0011] 実施例Iでは、タンク設計の変更をほんのわずかしか必要とせず、タンク自体が直接加温されるため、外部のヒータシステムに比して加熱効率が高くなる。繊維複合材製の高圧貯蔵タンクは繊維ストランド、フィラー、及び、樹脂基盤内に埋め込まれる他の材料を延伸することから形成される。本発明は、繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加熱システムを提供し、該加熱システムにより、タンク内、及びタンクの両端の1つ又は複数のボスアセンブリにおけるタンクガス流制御システムに付随するガス流部材内のガス温度が、タンク及びボスアセンブリの温度設計公差下限よりも高く維持される。本発明では、長手方向に延びる導電性及び抵抗性繊維材料ストランドが埋め込まれている高分子バインダからタンク壁が形成され、該タンク壁を形成する導電性及び抵抗性繊維に電源が相互接続される。] [0012] タンク内の導電性及び抵抗性繊維材料ストランドは本質的に、電流が印加されるとタンク及びボスアセンブリシステムを加熱する。いくつかの例では、1)タンク壁の導電性繊維材料内に電流に対する電気抵抗路を形成するように、電極がタンク壁の繊維複合材組成物内に埋め込まれ、2)タンクの一端にある導電性金属ボスが電源に接続されることで加温電流の流れを導電性シェルに供給し、3)タンクシェル内に固有に形成されると共に、タンクの両端の対向する両側部のそれぞれにて導電性複合材製タンクシェルから出て電源との相互接続部に至る導電性繊維延長要素に電源が相互接続される。金属ボスがタンクの一端又は両端にあり、タンク壁が内部金属ライナを有する場合、導電性繊維複合材製タンクシェル構造と金属ライナとの間に挟まれる絶縁層が設けられ、その場合、絶縁層は、タンクの導電性壁を導電性繊維壁と絶縁させ、1つ又は複数の金属ボスを電流の流れと絶縁させる。] [0013] 温度安定化をもたらすように温度センサを用いる温度制御システムを本発明の実施形態に用いてもよい。弁温度、タンク壁温度、ガス温度及び周囲温度の1つ又は複数について、測定データが制御システムに入力される。タンクの繊維部材への電流の流れによって決まる、該システムによって維持される制御温度は、ガス温度及びタンクに付随する金属部材の温度が、タンク、及び該タンクの両端の1つ又は複数のボスにおけるタンクガス流制御システムに付随する部材の温度公差下限を下回らないようになっている。] [0014] タンク壁を形成する導電性材料は金属粉末組成物から成るフィラーを有し、該粉末組成物として、アルミニウム、銅、ニッケル、銀、ステンレス鋼及びチタン(Al、Cu、Ni、Ag、SUS及びTi)の粉末、カーボンブラック粉末、セラミック粉末、及び、導電性金属でコーティングしたプラスチック粉末の1つ又は複数が挙げられ得る。タンク壁を形成する際に用いる好ましい導電性材料は、通常、およそ約0.1×10−6m〜およそ約500×10−6mの範囲の平均粒子径を特徴とする粉末組成物であるフィラーを含む。導電性カーボンナノチューブをタンク壁組成物内に埋め込んでもよい。タンク壁を形成する際に用いる他の導電性繊維材料として、金属ワイヤ、並びに、金属でコーティングした炭素繊維、ガラス繊維及びプラスチック繊維が挙げられる。] [0015] 電流が印加されるタンク壁の抵抗性/導電性は0.1オーム〜100オームの範囲である。システムに入力される電流及び加温電力のために電気的に活性な回路を形成するように、タンク壁に付随する電極に電源が相互接続される。加温電力すなわちP加温[W]は、車両動作時のタンクとガス流アセンブリの温度公差によって求められ、その場合、加温電流(I)は、式:Iタンク=(P加温/Rタンク)0.5によって求められ、加温電圧(E)は、式:EIタンク=Iタンク×Rタンクによって求められる。タンク壁に相互接続される電源は車両内の他の電線と絶縁されていてもよく、そのような場合には、DC/DCコンバータ又はDC/ACインバータがタンク加温電源を含む。] [0016] 図3は加熱システムの一例の構成部品:タンク14、複合材製シェル14a及びライナ14b、ガス貯蔵用の内部容積部12、ボス13、並びにガス流導管、すなわち、外部の入口/出口導管GF1、運転時のガス消費に対する内部の出口導管GF2、及びガス補給に対する内部の入口導管GF3を示す。ボス内に埋め込まれたガス流導管もまた、GF2及びGF3のそれぞれにおいて(図示はしないが)逆止弁、圧力調整器及び制御弁が埋め込まれていてもよい。電極31及び33が繊維複合材製タンク壁内に埋め込まれており、複合材製シェルを加熱するように、導電性/抵抗性繊維に接続してタンク壁内に電流に対する電気抵抗路を形成する。電源30に接続される端子32及び34に電極が接続されることで、加温電流の流れが導電性シェルに供給される。図4は、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、タンクの各側部の対向する両端から延びる導電性金属ボス11及び13に電源30が相互接続されている。電源30に接続される端子42及び44にボス電極41及び43が接続されることで、導電性シェルに加温電流の流れが供給される。図5は、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、タンクシェル内に固有に形成されると共にタンクの両端の対向する両側部のそれぞれにて導電性複合材製タンクシェル14aから出ている導電性繊維延長要素51及び53に電源が相互接続されている。電源30に接続される端子52及び54に固有のタンク電極51及び53が接続されることで、導電性シェルに加温電流の流れが供給される。図6は、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、タンクを形成する複合材の導電特性に基づいてタンクの所定位置にてタンク壁内に電極61、63、65及び67が埋め込まれている。電源30に接続される端子62、64、66及び68を介してこれらの電極が電源に相互接続されることで、導電性シェルに加温電流の流れが供給される。] 図3 図4 図5 図6 [0017] 図7Aは、図6のタンク壁セグメント7A→←7Aに示されるような、内部ライナを有するタンクの典型的な壁セクションの拡大断面である。図7Aでは、複合材製タンクシェル14aがエポキシバインダ80から形成されて示されており、長手方向に延びる炭素フィラー繊維材料ストランド91、92、93、94及び9n、...並びに長手方向に延びる導電性フィラー繊維材料ストランド101、102、103、104及び10n、...が内部に埋め込まれている。中実のプラスチックライナ14bが複合材製シェル14aの内表面に接合されて示されている。図7Bは、図7Aに示したフィラー及び繊維ストランドのアラインメントを示す、タンク壁セグメントの拡大断面を示す。] 図6 図7A 図7B [0018] 図8Aは、内部金属ライナ14cを有する導電性/抵抗性複合材製構造14aを有し、絶縁層140が導電性複合材製タンク構造14aと金属ライナ14cとの間に挟まれているタンク壁14の側面断面詳細を示す。図8Aでは、本発明の加温システムはタンク壁内に埋め込まれた電極201、203、205及び207を有する。電源230に接続される端子202、204、206及び208を介してこれらの電極が電源230に相互接続されることで、導電性シェルに加温電流の流れが供給される。絶縁層140がタンクの導電性壁14aを導電性タンク壁14aと絶縁させ、金属ボス11を電流の流れと絶縁させることで、短絡状態を防止する。] 図8A [0019] 図9は、本発明の実施形態の場合に有用な、本発明において用いられる温度制御システムを示す。温度制御システムはタンク及びガス流部材の全体的な温度の監視及び調整に用いられ得る。図9の例では、センサは、T1=ボス温度、T2=ガス温度、T3=周囲温度及びT4=表面近傍温度を測定する。検知された温度は、全体的なガス及びタンク温度を調整する制御システム200に入力され、それにより、制御プロセッサ200によって調整される、加温システムによって生成される制御温度は、以下のようになる、すなわち、T1、T2がタンク部材及び弁部材の公差下限を上回る。制御プロセッサ200は、エネルギー入力コネクタ61及び62にてタンクに相互接続された、補助的な加温システム(電気システム又は流体システムであってもよい)に入力された、加温電源65からのエネルギー流を調整する。種々の動作モードの温度を示す図2を参照すると、制御システム200は、差Tすなわち25及び差26として示す温度差をなくすと共にシステムの公差下限を下回らないように、システムに加温を行う。] 図2 図9 [0020] 図7A及び図7Bを参照すると、タンク壁を形成する際に用いる好ましい導電性材料は、通常、およそ約0.1×10−6m〜およそ約500×10−6mの範囲の平均粒子径を特徴とする粉末又はストランド組成物であるフィラーを含む。有用な粉末として、Al、Cu、Ni、Ag、SUS、Ti、及び同様の導電性を有する同様の金属組成物等の金属粉末、並びに、金属めっきしたカーボンブラック粉末、セラミック粉末及びプラスチック粉末が挙げられる。タンク壁繊維部材は、上記の金属、並びに、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック繊維及びカーボンナノチューブ繊維等の金属めっきした繊維から形成されるワイヤを含む。電源に接続される電極を設けることによって決まる、加熱されるタンク壁の範囲に対する有用な抵抗性/導電性パラメータは、0.1オーム〜100オームの抵抗範囲である。] 図7A 図7B [0021] 図9に示す制御システムでは、電源(AC又はDC、並びに各電圧及び電流及び周波数)は、最適な温度制御設計に応じて多くの変更を可能にする設計選択事項である。電力要件がオームの法則に従って計算される。システムに入力される加温電力すなわちP加温[W]が車両動作時のタンク温度によって求められ、その場合、電流(I)は、式:Iタンク=(P加温/Rタンク)0.5によって求められ、電圧(E)は、式:EIタンク=Iタンク×Rタンクによって求められる。絶縁の点から、設計者の選好に応じてタンク加温電源を車両内の他の電線と絶縁してもよい。この例では、DC/DCコンバータ又はDC/ACインバータをタンク加温電源として設けねばならない。] 図9 [0022] 実施例II 一実施形態では、タンク及び/又はライナを形成する材料の固有の電磁特性のため、いかなる大幅な変更もなく、従来設計されたタンクを本発明と共に用いることができる。タンクが直接加熱されるため、外部のヒータに比して高い加熱効率が達成される。] [0023] ここで、本発明は鉄、ステンレス鋼、チタン、マグネシウム、錫、ニッケル、亜鉛、クロム(Fe、SUS、ニクロム(登録商標)(ニッケルとクロムの非磁性合金の商標名))又は上記の合金、及び同様の誘導的に活性な材料又は組成物から成る群から選択される1つ又は複数の金属から形成されるタンク壁ライニングを有する。いくつかの例では、誘導的に活性な材料又は組成物から形成されるタンクライニングが、タンク内部容積部を部分的に包囲する。タンク内部の底部がより低い温度を有することが予期される場合には、さらなる誘導的に活性な材料又は組成物をタンク底部のタンク構造内に含めることで、底部領域にさらなる熱を与えてより均一な温度を達成するようにする。] [0024] したがって、典型的な自動車用高圧ガスタンクが炭素繊維複合材(炭素繊維樹脂ポリマー「CFRP」)製シェルから形成され、内部ライナがアルミニウム又はプラスチックから形成される場合、本発明により、タンク組成のわずかな変更でタンク加熱を達成することが可能となり、誘導加熱特性を得るのに必要とされるタンク配合材料の変更がわずかであり、その場合、誘導ヒータからの熱は該配合材料内に発生する渦電流に起因する。タンク部材の好ましい特性として、タンク及びシェルの電気的特性及び電磁的特性が挙げられ、その場合、シェル及びライナの一方又は双方が電気抵抗しか必要としない。例として、プラスチックライナは、抵抗が106オーム・m以上の範囲の非導電性である。対照的に、アルミニウムライナは、抵抗が約2.65×10−8オーム・mである。炭素繊維樹脂ポリマー製シェルは、抵抗が1〜2×10−5オーム・mである。本発明における誘導コイルに対するAC電流の周波数は20Hz〜50kHzの範囲内にある。] [0025] 本発明の誘導加熱システムにタンクを適合させるために、好ましい複合材及びそれらの特性は、a)シェルが非導電性となり、b)シェルが強磁性的に活性となり、且つ/又はc)ライナが強磁性的に活性となることである。これに関して、ライナについて、アルミニウムは加温するには電気抵抗が低すぎる。プラスチックは加温するには電気抵抗が高すぎる。] [0026] 実施例IIでは、CFRPシェルは、誘導的に活性な部材と共に使用される際にいかなる変更も必要としない、本発明において有用な材料である。しかしながら、CFRPシェル組成は、スチールウールストランド等の繊維又は強磁性若しくは導電性を有する粉末(鉄)を作製プロセスにおいて加えることによって誘導加熱特性を達成するように変更することができる。] [0027] 図10A及び図10Bは、本発明の一例を示し、ここでは、誘導加温により、複合材製シェル114a若しくは金属ライナ114b又は繊維複合材製ガスタンク114のいずれか又は双方を加温する。図10Aには、完全なタンクシステムの一例の構成部品:タンク114、複合材製シェル114a及びライナ114b、ガス貯蔵用の内部容積部12、ボス110、並びにガス流導管、すなわち、ガス燃料補給に対する外部の入口導管340及び運転時のガス消費に対する外部の出口導管350が示されている。金属ボス内に埋め込まれたガス流導管もまた、ガス圧力及び流れ方向を調整するように導管340及び350のそれぞれに逆止弁、圧力調整器及び制御弁の1つ又は複数が内部に埋め込まれている(図示せず)。誘導コイル250がタンクの外径に巻かれ、端子240及び260を介して車両の電源300に接続されることで、誘導コイルに電流の流れを供給し、活性化した誘導コイル250によって生じた電磁場を受けるとタンク部材114a又は114bをそれらの電磁特性に応じて加温する。図10Bは、図10Aのタンク壁セクション10Bの詳細であり、シース250iによって絶縁された導電性コアワイヤ250wから形成され、タンクに巻かれた個々の導電性ワイヤストランド250a、250b、250c、250x,...を示す。] 図10A 図10B [0028] 図11Aは、本発明の加温システムの側面図であり、ここでは、端子240及び260を介して搭載用電源300に相互接続されたタンク壁の繊維複合材層内に誘導コイル250が埋め込まれている。図11Bは、11B→←11Bとして示した図4Aのタンク壁の長手方向に延びる側面の断面である。活性化した誘導コイル250によって生じる電磁場を受けると、誘導電流がタンク部材、すなわちシェル114a又はライナ114bをそれらの電磁特性に応じて加温する。] 図11A 図11B 図4A [0029] 図12Aは、本発明の加温システムの一例の断面図であり、ここでは、電気的且つ電磁的に非導電性の複合材製外側シェル114a及び電磁的に活性な鉄系金属ライナ114cを有するタンクの外径に誘導コイル250が巻かれている。図12Bは、12B→←12Bとして示した図12Aのタンク壁の側面の断面であり、誘導コイル、繊維製タンクシェル及び金属ライナを示す。] 図12A 図12B [0030] 図12Bは、図12Aのタンク壁セクション12Bの詳細を示し、タンクの外側シェルに巻かれた、個々の導電性の絶縁されたワイヤストランド250a、250b、250c、250k,...を示し、絶縁層250i及び導電性コア250wも示されている。] 図12A 図12B [0031] 図13は、一例として図10Aの加熱システムを示す、本発明に用いられる温度制御システムを示し、ここでは、温度センサT1(ボス)、T2(ガス)、T3(周囲)及びT4(表面コイル)が、弁及びボス温度T1、タンク内すなわち容積部12内のガス温度T2、周囲温度T3及びタンク表面近傍温度T4についてそれぞれ、制御システム200に入力される温度測定を行う。温度制御システム200は、搭載用電源300から、加熱効果を生じる有線コイル電極240及び260への電力の流れを維持する。電力は、「制御温度:T1、T2が(タンク及び弁システムの)公差下限を上回る」ように調整される。車両の種々の動作モードでのタンク及び弁システム温度を示す図2を参照すると、制御システム200は、図2に差tすなわち25及び差26として示す温度差をなくすと共に該システムの公差下限すなわち限界Tを下回らないようにシステムを加熱する。] 図10A 図13 図2 [0032] このようにして、誘導熱がガスタンク自体を加温するため、内部の誘導コイルが適切に又はそれ以上に作動することができる。金属ライナ又は炭素層は電磁特性を有するため、それぞれが誘導加熱コイルによって加温されることができる。電磁特性が上記のいくつかの例の教示と一致していれば、設計を著しく変更することなく従来のタンクを用いることができる。タンク自体が直接加熱されるため、外部のヒータよりも高い加熱効率が達成される。誘導コイルに交流を供給する搭載用電源システムはタンクと絶縁される。このようにして、本発明では、誘導電流の流れがタンク構造の電磁性的又は強磁性的に活性な要素を加熱し、その場合、渦電流がタンク材料内で発生し、タンク若しくはライナ又はそれらの双方の固有の抵抗若しくは導電性がジュール加熱をもたらす。高周波交流(AC)が搭載用電源からコイルに通され、タンクの周りのコイルが電磁場を生じる。好ましくは、搭載用電源は、高周波の低電圧及び高電流をもたらすAC電源を含む。有用な周波数として、20Hz〜50kHzの範囲の交流が挙げられる。誘導コイルの巻数が所望の加温効果の効率及び電磁場パターンに影響する。] [0033] 図14Aには、本発明に有用な、交互に形成されたタンク壁組成の断面が示され、ここでは、従来のCFRPシェル114a及びプラスチックライナ114bが、誘導コイル250によって包囲されるタンク構造を形成し、シート、箔、メッシュ又は繊維製の114ライナすなわち内部ライニングが誘導的に活性な加熱要素として設けられる。誘導電流の印加の際、低周波電磁場がタンク壁に浸透することができ、電磁場強度はCFPRでの吸収によって部分的に減少する。残存する誘導エネルギーがタンクの内部で作用し、内部ライニングすなわち114ライナを加熱する。タンク内で加熱すべきライニングは好ましくは、Fe、SUS、ニクロム(登録商標)、Ti、Mn、Sn、Ni、Zn、Cr、上記の合金及び同様の誘導的に活性な材料又は組成物から形成される。図14Bはタンク構造を示し、ここでは、タンク内で加熱すべきライニングすなわち114ライナが誘導的に活性な材料又は組成物から形成され、例えば形状が円筒形である場合、タンクの内部容積部を部分的に包囲する。タンク内部の底部は通常、低い温度を有することが予期される。図14Cでは、さらなる誘導的に活性な材料又は組成物がタンク底部のタンク構造内、例えば114ライナ内に含まれることで、さらなる熱を底部領域に与えてより均一な温度を達成する。] 図14A 図14B 図14C [0034] したがって、典型的な自動車用高圧ガスタンクが炭素繊維複合材製シェル(炭素繊維樹脂ポリマー「CFRP」)から形成され、内部ライナが通常、アルミニウム又はプラスチックから形成される場合、本発明により、タンク組成のわずかな変更又はライナ構成への限られた付加でタンクの加熱を達成することが可能となる。典型的なタンクにおいて、タンク内に強磁性材料がない場合、第1の場合では、誘導加熱特性を得るのに必要とされるタンク配合材料の変更はわずかであり、その場合、誘導ヒータからの熱は該材料内において発生する渦電流に起因する。第2の場合では、別個のライナによりタンクを誘導加熱に適合させる。好ましい誘導材料及びそれらの特性は、a)シェルが非導電性となり、b)シェルが強磁性的に活性となり、且つ/又はc)ライナが強磁性的に活性となることである。これに関して、アルミニウム自体は加温するには電気抵抗が低すぎ、プラスチック自体の電気抵抗は加温するには高すぎる。しかしながら、CFRPシェル組成物は、スチールウールストランド等の繊維又は強磁性若しくは導電性を有する粉末(鉄)を作製プロセスにおいて加えることによって誘導加熱特性を達成するように変更することができる。タンク壁を形成する際に用いる好ましい粉末材料は、通常、およそ約0.1×10−6m〜およそ約500×10−6mの範囲の平均粒子径を特徴とする粉末組成物であるフィラーを含む。別個のライナを伴う場合、ライニングは好ましくは、Fe、SUS、ニクロム(登録商標)、Ti、Mn、Sn、Ni、Zn、Cr、上記の合金又は同様の誘導的に活性な材料又は組成物から形成される。] [0035] 実施例III この実施例では、本発明は、ジュールトムソンエネルギーを用いる高圧水素ガス貯蔵タンク用の加温システムを提供する。回収/捕捉したジュールトムソン熱を、熱交換装置であるHEXから、ヒートパイプ、冷媒循環装置又は同様の伝熱管を介して、内部ラジエータ又はHEXに伝達し、ここで、ジュールトムソン熱が放出され、タンク内に貯蔵された残存ガスを加温する。] [0036] 要するに、実施例IIIは、水素ガス駆動車においてジュールトムソンエネルギーを用いる高圧水素ガス貯蔵タンク用の加温システムを提供する。本発明は、H2ガスが30MPa〜35MPaのような高圧に補給される際に、消費された水素内に蓄えられたジュールトムソンエネルギーを回収することによって貯蔵タンクシステムを加温するという解決策を提供する。図1Aに示されるように、ガスが使用時に1MPaに減圧されると、残存ガス及び/又はタンクアセンブリ部材を加温するようにジュールトムソンエネルギーが熱として回収される。] 図1A [0037] 図15は、ジュールトムソン加温システムの一例の構造:炭素繊維樹脂複合材製シェル140a及びライナ140bから形成されるタンク140、ガス貯蔵用の内部容積部120、ボス110並びにガス流出導管110outを示す。図15の例では、タンク容積部内に30MPa〜35MPaの高圧下で貯蔵されたガスが、導管GFを通って圧力調整器PR及び内部の熱交換器311に流れ、ここで、水素がタンクから消費される際にジュールトムソン熱エネルギーがタンクガスに放出される。熱の流れを矢印で示す。] 図15 [0038] 図16には、タンクの一端のタンクボス41における本発明の加温システムの一例が側面図で示されている。この例では、ガス流出口導管GFがタンク内部41から出ており、ここでは、初期圧は35MPaであり、減圧ガスとボス、ナット、ポート又はタンクとの間での熱交換のために、圧力調整器PR(これもまたタンクボス内に埋め込まれている)を介し、圧力調整された1MPaガスが車両用パワープラントに流れるようになっている。] 図16 [0039] 図17では、外部の熱交換器及び内部の熱交換器が本発明の加温システムのさらなる例において用いられている。ガス流出口導管GF5がタンク内部容積部120から出ており、ここでは、初期圧は35MPaであり、上記導管内の流れはボス510を通って外部の圧力調整器PRに導かれる。圧力調整器PRの後に車両用パワープラントに流れる水素ガスは、圧力が1MPaである。ガス流導管GF5の中間、すなわち調整器PRと車両へのガス出口520との間に、捕捉した熱をGF5からタンク内部120に伝達する伝熱システム、例えば熱交換装置530があり、ここで、捕捉した熱が、内部に貯蔵されている残存高圧ガスに放出される。回収/捕捉したジュールトムソン熱をHEX530から、ヒートパイプ、冷媒循環装置又は同様の伝熱管すなわちHTCを介して、内部ラジエータ又はHEX540に伝達し、ここで、回収した熱が放出され、タンク内に貯蔵されている残存ガスを加温する。] 図17 [0040] したがって、実施例IIIのシステムは、ガスが消費される際にタンク内に残存するガス用の加温作用物質(warming agent:加温剤)として使用するために、補給プロセス時にガス内に蓄えられた機械的なガス圧縮エネルギーから回収した熱を再利用する。本発明のシステムは、上記の実施例I及び実施例IIにおいて説明したような補助的な加熱システムと共に用いてもよい。] 実施例 [0041] ジュールトムソン加熱及び補助的な加温の双方によるシステムを全体的な温度調整に用いてもよい。温度/電力(temperature power)制御システムが図18に示されている。図18の例では、センサが、T1=ボス温度、T2=ガス温度、T3=周囲温度及びT4=表面近傍温度を測定する。検知された温度は、補助的な加温システムに入力された電力を調整することで全体的なガス及びタンク温度を調整する温度/電力制御システム200に入力され、それにより、ジュールトムソン加熱及び補助的な加温のシステムによって生成され、制御プロセッサシステム200によって調整された制御温度は、以下のようになる:T1及びT2がタンク及び弁部材の公差下限を上回る。制御システム200は、補助的な加温システムに入力された、加温電源60からのエネルギー流を調整する。補助的な加温システムは、調整された電力エネルギー入力コネクタ61及び62にてタンクに相互接続される電気システム又は流体システムとして設けられてもよい。種々の動作モードの温度を示す図2を参照すると、制御システム200は、図示の温度差をなくすと共にシステムの公差下限を下回らないようにシステム温度を維持する。] 図18 図2 [0042] エンジン駆動又は燃料電池駆動の高圧CNG又は水素ガス燃料車両は、搭載用タンク内に貯蔵される燃料の量を増大させることによって達成される駆動レンジの拡張を必要とする。貯蔵される燃料の量が増大するため、タンク内のガス圧も同様に増大する。タンクの補給時及び消費時に生じる圧力変動と共に、温度変動が搭載用タンクの内外で生じ、物理的な部材(タンク及び現場の熱管理装置(熱交換器)、及び/又は内部に設けられる場合のあるガス流装置(弁及び調整器)を含む)の膨張及び収縮の結果として、タンクシステム内に機械的応力が生じる。タンク消費の際のガスの減圧により温度が低下し、応力が生じる。さらに、低温はそれ自体だけで内部漏洩又は外部漏洩を誘導しかねない。説明し、特許請求の範囲に記載した、熱による加温及び温度制御システムはガス流を促進させると共に、補給時のガス加熱、タンク消費時のガス冷却及び環境温度変動の影響によってタンク内に誘導される応力を除くのに有用である。本発明により、タンクシステムアセンブリと該タンクシステムアセンブリに付随するガス流制御システムの保全性及び耐久性が向上する。]
权利要求:
請求項1 繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク内及び該タンクの両端の1つ又は複数のボスアセンブリにおける該タンクのガス流制御システムに付随するガス流部材内の、ガスの温度を、該タンク及び該ボスアセンブリの温度設計公差下限よりも高く維持する、繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加熱システムであって、1)前記タンクを形成する抵抗性構造材料に電流を通すことによって該タンク自体を加熱すること、2)電気誘導加熱システムを用いて前記タンク内の金属ライナ、又は該タンクのシェルを形成するポリマー繊維複合材を加温すること、3)ジュールトムソン効果を用いて前記貯蔵タンクから排出された高圧ガスから熱を回収し、且つ、該回収した熱を前記タンク内に残存するガスに導くこと、並びに/或いは4)前記タンクを形成する抵抗性構造材料に電流を通すことによって該タンク自体を加熱すること、及び、電気誘導加熱システムを用いて前記タンク内の金属ライナ、又は前記タンクシェルを形成するポリマー繊維複合材を加温することのいずれか又は双方を、ジュールトムソン効果によるヒータと組み合わせること、によって、前記タンク及び/又はその内部のガスを加温することによって前記タンク及び該タンクのアセンブリに物理的に付随する前記ガス流制御システムを加温することを特徴とする加熱システム。 請求項2 繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク内及び該タンクの両端の1つ又は複数のボスアセンブリにおける該タンクのガス流制御システムに付随するガス流部材内の、ガスの温度を、該タンク及び該ボスアセンブリの温度設計公差下限よりも高く維持する、繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加熱システムであって、長手方向に延びる導電性及び抵抗性繊維材料ストランドが内部に埋め込まれている高分子バインダから形成されるタンクと、前記タンクの壁を形成する前記導電性及び抵抗性繊維に相互接続される電源と、を備え、それにより、電流が印加されると、前記タンク内の前記導電性及び抵抗性繊維材料ストランドが前記タンク及び前記ボスアセンブリシステムを固有に加熱することを特徴とする加熱システム。 請求項3 前記タンク壁の前記導電性繊維材料内に電流に対する電気抵抗路を形成するように、前記タンク壁の繊維複合材組成物内に電極が埋め込まれる、請求項2に記載の加熱システム。 請求項4 前記タンクの一端の導電性金属ボスを電源に接続することで、加温電流の流れを前記導電性シェルに供給する、請求項2に記載の加熱システム。 請求項5 前記タンクシェル内に固有に形成されると共に、前記タンクの両端の対向する側部のそれぞれにて前記導電性複合材製タンクシェルから出て電源との相互接続部に至る導電性繊維延長要素に電源が相互接続される、請求項2に記載の加熱システム。 請求項6 1)前記タンクの一端又は両端に金属ボス、2)内部金属ライナを有するタンク壁、及び3)前記導電性繊維複合材製タンクシェル構造と前記金属ライナとの間に挟まれた絶縁層をさらに備え、該絶縁層は、前記タンクの導電性壁を前記導電性繊維壁と絶縁させ、1つ又は複数の前記金属ボスを電流の流れと絶縁させる、請求項4に記載の加熱システム。 請求項7 弁温度、タンク壁温度、ガス温度及び周囲温度の1つ又は複数について温度制御システムに入力される温度測定データを供給するのに温度センサを用いる、温度制御システムを備え、それにより、前記タンクの前記繊維部材への電流の流れによって決まる、該システムによって維持される制御温度は、ガス温度及び前記タンクに付随する金属部材の温度が、該タンク、及び該タンクの両端の1つ又は複数の前記ボスにおける前記タンクガス流制御システムに付随する部材の温度公差下限を下回らないようになっている、請求項2の記載の加熱システム。 請求項8 前記タンク壁を形成する導電性材料は、金属粉末、金属ワイヤ、並びに、金属組成物でコーティングした炭素繊維及びガラス繊維又はプラスチック繊維からなるフィラーを含む、請求項2に記載の加熱システム。 請求項9 前記金属はAl、Cu、Ni、Ag、SUS及びTiの1つ又は複数からなる、請求項8に記載の加熱システム。 請求項10 前記粉末組成物は、カーボンブラック粉末、セラミック粉末、カーボンナノチューブ、及び導電性金属でコーティングしたガラス粉末又はプラスチック粉末の1つ又は複数からなる、請求項8に記載の加熱システム。 請求項11 電流が印加される前記タンク壁の抵抗性/導電性は、0.1オーム〜100オームの範囲である、請求項2に記載の加熱システム。 請求項12 電流に対し電気的に活性な回路を形成するように、前記タンク壁に付随する電極に相互接続される電源を備え、前記システムに入力される加温電力すなわちP加温[W]が、車両動作時の前記タンク及び前記ガス流アセンブリの温度公差によって求められ、その場合:a.電流(I)は、式:Iタンク=(P加温/Rタンク)0.5によって求められ、b.及びc.電圧(E)は、式:EIタンク=Iタンク×Rタンクによって求められる、請求項2に記載の加熱システム。 請求項13 前記タンク壁に相互接続される前記電源は車両内の他の電線と絶縁される、請求項2に記載の加熱システム。 請求項14 DC/DCコンバータ又はDC/ACインバータが前記タンクの加温電源を含む、請求項2に記載の加熱システム。 請求項15 炭素繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク内、及び該タンクの一端の1つ又は複数のボスに付随するガス流部材内の、ガスの温度を、該タンク及び該タンクに付随する前記ガス流部材の温度設計公差下限よりも高く維持する、炭素繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加温システムであって、高分子バインダ内に埋め込まれた電磁的に活性な繊維材料から形成される繊維樹脂複合材製タンクを備え、該加温システムは、電磁誘導によって前記タンクを加温する電磁場を生じるように、搭載用電源から該コイルに通される高周波交流(AC)に相互接続される、前記タンクの直径に巻かれた導電性ワイヤのコイルを備えることを特徴とする炭素繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加温システム。 請求項16 繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク内、及び該タンクの両端の1つ又は複数のボスに付随するガス流部材内の、ガスの温度を、該タンク及び該付随するガス流制御部材の温度設計公差下限よりも高く維持する、繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加熱システムであって、複合材製外側シェルから形成される樹脂複合材製タンクと、高分子バインダ内に埋め込まれた電磁的に活性な繊維材料から形成される内部ライナと、を備え、前記シェル及び前記ライナの一方又は双方は強磁性的に活性であり、該加温システムは、搭載用電源から該コイルに通される高周波交流(AC)に相互接続される、前記タンクの直径に巻かれていると共に該タンクと絶縁された導電性ワイヤのコイルを備え、それによって、電磁誘導効果により、前記シェル、前記ライナ又はそれらの双方を形成する材料が加温されることを特徴とする繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加温システム。 請求項17 繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク内、及び該タンクの両端の1つ又は複数のボスに付随するガス流部材内の、ガスの温度を、該タンク及び該ガス流制御部材の温度設計公差下限よりも高く維持する、繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加温システムであって、高分子バインダ内に埋め込まれた絶縁繊維材料から形成されるタンクと、前記タンクの内部に強磁性金属ライナと、前記金属ライナを加温する電磁場を生じるように、搭載用電源から該コイルに通される高周波交流(AC)に相互接続される、前記タンクの外径に巻かれた導電性ワイヤのコイルを備える加温システムと、を備えることを特徴とする繊維複合材製の高圧ガス貯蔵タンク用の加温システム。 請求項18 温度制御システムを備え、該制御システムは、前記電源及び前記コイルに相互接続され、弁温度、ガス温度、タンク温度及び周囲温度の1つ又は複数について該制御システムに入力される温度測定データを供給する温度センサにさらに相互接続され、それにより、前記コイルへの電流の流れによって決まる、該システムによって維持される前記タンク及び前記ガス流制御部材の制御温度は、前記ガス温度、並びに前記タンク及び前記付随するガス流制御部材の温度が、該タンク及び該付随するガス流制御部材の温度公差下限を下回らないようになっている、請求項15又は16又は17に記載の加温システム。 請求項19 鉄、ステンレス鋼、チタン、マグネシウム、錫、ニッケル、亜鉛、クロム(Fe、SUS、Ti、Mn、Sn、Ni、Zn、Cr)、及び上記の合金の群から選択される1つ又は複数の金属から形成されるタンク壁ライニングを有する、請求項15に記載の加温システム。 請求項20 前記タンク内部の底部は、前記タンクの底部における前記タンク構造内に含まれるさらなる誘導的に活性な材料又は組成物から形成される、該底部のタンク表面に対応する部分ライナを有する、請求項15に記載の加温システム。 請求項21 抵抗が10−6オーム・m以上の範囲の非導電性であるプラスチックライナを有する、請求項15に記載の加温システム。 請求項22 抵抗がおよそ2.65×10−8オーム・mである金属ライナを有する、請求項15に記載の加温システム。 請求項23 タンク壁を形成する炭素繊維樹脂ポリマー製シェルは、抵抗が1〜2×10−5オーム・mである、請求項15に記載の加温システム。 請求項24 前記誘導コイルに供給されるAC電流周波数は、20Hz〜50kHzの範囲内である、請求項15に記載の加温システム。 請求項25 a)前記タンクシェルは非導電性であり、b)該シェルは強磁性的に活性であり、且つc)前記ライナは強磁性的に活性である、請求項15に記載の加温システム。 請求項26 前記タンクシェルはスチールウールストランド又は強磁性を有する鉄粉末の1つ又は複数を含む、請求項15に記載の加温システム。 請求項27 搭載用自動車タンク内、及び該タンクの一端の1つ又は複数のボスに付随するガス流制御部材内の、ガスの温度を、該タンク及び該ガス流制御部材の温度設計公差下限よりも高いレベルに上げる、搭載用自動車タンク内に高圧下で貯蔵された水素ガス用の加温システムであって、高圧水素ガス貯蔵タンクと、ガス流導管であって、前記タンク内に貯蔵された高圧ガスから、該導管内に流れる該ガスの圧力を車両用パワープラントでの使用に適したレベルに下げる圧力調整器に至る、ガス流導管と、前記圧力調整器の後に配置されると共に前記車両用パワープラントのガス入口の前に配置される、前記ガス流導管に動作可能に相互接続される熱交換装置と、を備え、それにより、高圧水素ガスが車両動作時に用いられる際に、前記導管を流れるガスにおけるジュールトムソン効果を熱として捕捉し、捕捉した熱を用いて、前記タンク内、及び/又は該タンクアセンブリの前記ガス流制御部材内のガスを加温することを特徴とする加温システム。 請求項28 前記ガス流導管、前記圧力調整器及び前記熱交換装置は、前記タンクの一端のボス内に埋め込まれる、請求項27に記載の加温システム。 請求項29 a)前記ガス流導管が前記タンクの内部容積部から出て該タンクの外部の前記圧力調整器を通過し、b)前記ガス流導管が伝熱システムを通り、ここで、捕捉したジュールトムソン熱が回収され、c)該伝熱システムの伝熱装置が、捕捉した熱を、前記ボスを介して前記タンクの内部に戻し、且つ、d)前記加温システムが前記タンク内部に、前記伝熱システムに相互接続されるガス流導管に相互接続されるラジエータをさらに備え、それにより、前記捕捉したジュールトムソン熱が前記タンク内部に放出される、請求項27に記載の加温システム。 請求項30 前記伝熱システムの前記伝熱装置は、ヒートパイプ及び冷媒循環装置の一方を含む、請求項29に記載の加温システム。 請求項31 温度制御システムを備え、該温度制御システムは、該制御システムに入力する温度データの測定を行う温度センサを備え、該センサは、タンク温度、弁温度、ガス温度及び周囲温度の1つ又は複数を測定し、前記温度制御システムは、前記タンク内、及び該タンクに付随するガス流制御部材のガスの温度が、該タンク及び該タンクに付随するガス流制御部材の温度公差下限を下回らないように、加温制御温度を決定する、請求項27に記載の加温システム。
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